自粛するあなたにおすすめの音楽(3)真新しいのに、どこか懐かしい、そんな一コマを切り取る〜 Base Ball Bear 「SYUUU」
アローラ!
ぴぃ高と申します。
驟雨
突然ですがこの漢字、読めますか?
漢字の「へん」と「つくり」の関係から、つくりが読み方を表す、ということが分かる方や、
芥川賞をはじめ、文学に詳しい方、
地学を専攻していた、気象について知識がある、って方は読めると思います。
この漢字は「しゅうう」と読みます。
ブリタニカ国際大百科事典には、このように説明されています。
驟雨
対流性の雲(積雲や積乱雲)から急に降り始め,まもなく降りやむ雨。にわか雨ともいい,降り方の強さも急激に変化する。夏の夕立や雷雨,寒冷前線の通過時の雨が典型である。
早い話にわか雨ってことですね。特に穴ぼこのある雲から強い雨が降ってくるときの様子をイメージしてもらったら良いと思います。
ちなみに芥川賞云々の話はこちら。
作家、吉行淳之介による短編小説で、1954年に芥川賞を受賞した作品になります。
ということで、今回紹介したい楽曲の話。
僕のブログで頻発するアーティスト、
Base Ball Bearの「SYUUU」という曲です。読み方はもちろん「しゅうう」。
この曲は2021年3月にリリースされ、現時点で彼らの最新曲の位置付けです。(6/30に新曲出るらしいです。その時はまた感想書こうと思います)→Base Ball Bear、新曲“プールサイダー”を6/30配信リリース (2021/06/04) 邦楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)
では、この曲が「真新しいのに、どこか懐かしい」と感じたのか。
ポイント=聴きどころとしてまとめていきます。
・デジャヴを感じさせる曲調と、デジャヴと比較して明らかに変化している演奏の力強さ
SYUUUという楽曲、初見の感想がこれです。
映画「鴨川ホルモー」の主題歌である「神々 LOOKS YOU」を通じて彼らを知り、過去の曲をさかのぼっていた、その時に出会った初期の曲と構成や進み方がとても似通っているんです。
例えばこの曲「CRAZY FOR YOUの季節」
この曲「ELECTRIC SUMMER」
他にもこのアルバム「バンドBについて」の曲群。
是非、音源を手に取って聞き比べてもらいたい。
彼らの「同期音を使わずに表現する」疾走感、この疾走感を思い起こすとともに、明らかに演奏に円熟味を感じることでしょう。まるで戻りガツオ。
・「にわか雨」「驟雨」という秀逸なタイトルのチョイス
刹那的な時間という概念の具体化、見える化、言語化、詳細化を果たしているタイトルのチョイスだと思います。
にわか雨は一瞬だけど、インパクトある瞬間になることもあり得る。
その大小のあいまいさをうまく表現しています。
例えばこれが、「ゲリラ」や「スコール」だとすれば埋もれるはずのタイトルだと、埋もれてしまうのではないでしょうか。
なぜならそれらは、「針を刺すような痛み」は表現できないからです。
ちょっとした痛み、いら立ち、メモを取らないと忘れてしまうような記憶の澱、そういった瞬間を表現しているタイトル。
いま自分が書いた文章、とても抽象的なのですが、「SYUUU」の歌詞は、それを具体的に表現している、「懐かしさを含んだ歌詞」と言っていいでしょう。
是非歌詞を読んでから、タイトル「驟雨」に帰結する感動を味わっていただきたいです。
・とても面白いMVのつくり
このMV、シンプルな演奏の長回しなのですが、年代を感じさせるカメラがいくつも移り変わる、という構成になっています。
「にわか雨」と同じように、さまざまな世代に与えられたフィルターで一般化しているような感覚を覚えました。
視覚的にも味わえる「懐かしさ」といえるでしょう。
・「雨」と「Base Ball Bear」
Base Ball Bearは過去にも「雨」をテーマにした楽曲を製作しています。
アルバム(WHAT IS THE )LOVE & POP?の隠しトラック「明日は明日の雨が降る」
や、アルバム「C2」の楽曲「レインメイカー」
が主なところでしょうか。
これらの楽曲と「雨の長さ」を比較して聴くのがとても楽しい。
降り続く雨をテーマにしたソングライティングと、にわか雨をテーマにしたソングライティングの違いが楽しめます。
ひとことでまとめると「長雨の絶望感と不明瞭さが、にわか雨になるとわずかな救いを感じる」といえばいいのかな。
ここで味わえるのは違う楽曲と比較した「懐かしさ」といえます。
ということで、今回はここまで。
またお会いしましょう。
フロントマン、GOD、小出祐介様のインタビューを追記します。ぜひ。
Base Ball Bear 小出祐介 インタビュー――揺さぶられた価値観と「SYUUU/ドライブ」 | USENのオウンドメディア「encore(アンコール)」 | encoremode |
ぴぃ高