ぴぃ・ダイアリー

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心が揺れた瞬間を、出来るだけ書き留めておきたい、そんな場所です。

Dear My HERO ~僕の青春を作った歌を、浴びた二日間の記憶(1)Base Ball Bear「日比谷ノンフィクションⅨ」

アローラ!

 

ぴぃ高です。

 普段は女性声優にニチャニチャした記録が大半を占めているこの場所なのですが、久々に本来の目的である「良質な音楽を届ける」という役割を果たしたいと思います。

 

 今回参加したのは、Base Ball BearMr.Childrenという、僕が10年、特に後者は父のカーオーディオから数えると20年は聴き続けてきたアーティスト達のライブ。少しでも当時の感動が伝われば幸いです。

 

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 10年も同じ音を、声を聴き続けているのって、実は大変なことなんじゃないかなと思わずにはいられなかった。

 

 それくらい自分に染み付いた音を浴びてきたのが5月15日、日比谷野音でのBase Ball Bearのライブ「日比谷ノンフィクションⅨ」であった。

 

 いつ降り出すかも分からない空模様だったけど、不思議とこの日は「絶対に雨が大降りになることはない」という確信があった。

 

 何故なら、この日は、Base Ball Bearのライブがある日だから。

 

 彼らの鳴らす音に、例え雨音と言えど、例え雨音を隠しトラックに仕込んだ楽曲をリリースしていたとしても、ノイズは存在してはならない。

 

 入場してすぐ、お馴染みのジングルの音が大きくなり、3人の姿が現れる。コンテンツのライブのような大掛かりな、壮大な雰囲気は無い。しかし彼らがピックを、スティックを手に取った瞬間、それまでの自然体から急にスイッチが入ったことが読み取れた。

 

 ……ただ、この日はそのスイッチが過剰に押されていたようで。

 

 一曲目の「BREEEEZE GIRL」は出だしからハッキリと「緊張」が伝わってきた。無理もない。感染症対策を講じて以来、彼らにとって久しぶりのフルキャパ。

 パブリックイメージのヒーローらしからぬ、僕にとってのヒーローとしての人間味を感じさせる一幕であった。

 

 この日のセットリストは僕の中で3つの解釈がある。

 まず1-10曲目。「ノンフィクション」と銘打ったライブで展開される「フィクション」。

 そして11-14曲目の「お祭り」。

 15曲目からアンコールまではBase Ball Bearというバンド」の、少し先の未来を含めた「ノンフィクション」。

 これでもか、というばかりに僕の"癖"に刺さる「時間の流れを感じさせる」ステージであった。

 


 ステージ上での緊張も相まって、初心な初恋、控えめだけれども、衝動的な感情をぶつけた「BREEEEZE GIRL」、うまく言葉を伝えられないもどかしい様を「君を美しいと感じた そのときにそのまま伝えたら なんて思われるだろう 臆病になってしまう」と表現する「いまは僕の目を見て」、その初恋にオチをつける、ベボベ流・斜に構え節全開の「そんなに好きじゃなかった」。

 ひと夏の衝動的な恋を3曲で表現したあと、突入した「文化祭の夜」「(LIKE A)TRANSFER GIRL」「Transfer Girl」。10年彼らの音を浴びているが、発表されたときの意外性という点では追随を許さないファンクサウンドから、「転校生」をテーマとした2曲。新たな出会いと初めての恋を経験したが故に少し大人びた考えを持つようになったフィクションの中の男が、徐々に緊張から解放されてビルドアップしてきた彼らの演奏により、間近に迫ってくるようであった。

 

 ここで小休止のMC。やはり出だしに感じた彼らの、特に小出さんの「緊張」は事実だったようで。久しぶりのフルキャパ、久しぶりの日比谷野音「感慨」が押し寄せてきた、そんな話をMCでしていた。「一曲目からやり直してぇ〜」とも言っていた。もちろん、笑った。

 そんなアットホームなMCの後に入れ直したスイッチのまま突入していく「Cross Words」。

 

 二度目の歌い出し、仕切り直しは、完璧であった。

 

 言葉を「伝える」ことに臆病になっていた段階から「息をするように、君の名前を呼びたい」とステップアップしつつも、「丁寧に言葉を伝えようとする」意識は変わらない。二曲目の「いまは僕の目を見て」との対比に思わず唸ってしまったアルバム「C3」初見の感想を追体験したあとは、「喋るだけじゃなく、触れたい、しまって持って帰ってしまいたい」と深まる欲求を「_touch」「SIMAITAI」と繋ぎ、このパートクライマックスの「初恋」。

 この曲のイントロが流れた瞬間、文字通り頭を抱えてしまった。是非とも皆さんに聴いていただきたい。

 「初めてじゃない この恋を 終わらない 最初の恋」=「初恋」としてしまおう、という何食ったらそんな歌詞思い付くねん大賞2013受賞楽曲。「青春」真っ只中にいる、フィクションの中の存在を、リリースのタイミングが全く異なる楽曲陣で表現できる彼らの昔から変わらない姿に、拍手が止まらなかった。

 

 彼らが「音楽を使って出来ること」を示した前半を終え、突入していったのは彼らが「音楽で遊んできたこと」を示した「お祭り」のようなゲストパート。

 


 その初手で出てきたのは花澤香菜さん。

 え、マジ?とその場がざわつくのが感じられた。どこぞのコンテンツの顔面アルファベットの化け物たちが「今日予定入ってないからサプライズあるぞ!」と期待していたようだが、この日選ばれたのは我々でした。コンテンツの化物ども、すまぁ〜んwww

 さて、彼女がステージに立てば、披露される楽曲といえば、約10年前に実現したコラボ楽曲「恋する感覚」。事あるごとに(そんなに事があったことはないが)「男が書いた女目線のラブソングランキングダントツ」と称賛している、ベースの関根さんとの「無二の声」のデュエット楽曲。まさかステージに花澤さんが立って、この曲を聴けるとは思わなかった。女性声優を見てニチャニチャしない文章を書くという当初の目的はどこに行ったのでしょうか。

 

 そんなサプライズの時間はまだまだ続く。valkneeさん、Ryohuさんというラッパー二人を迎えた「生活PRISM」「歌ってるんだBaby.(1+1=new1 ver.)」。ギター、ドラム、ベースという音の基本構成を動かさない分、歌は自由に。基本構成の枠からはみ出ださなければ、なんでもできる、という彼らの強み、遊び心が体感できた。この2曲は明らかに会場の揺れ方がダンスフロア。これぞ日比谷、ラップの聖地というべきか。

 

 そんなフロア、いやステージにRyohuさんが残り、次の曲。僕くらいBase Ball Bearを聴いていたら次やる曲は大体2つに絞られるのだが、この祭りの空気。新たなゲストの登場が宣告され、沸き立つ会場。しかし登場したゲストは想像の斜め上であった。

 披露された楽曲は「クチビル・ディテクティヴ」。この楽曲は本来福岡晃子さんが歌唱メンバーとして参加しているのだが、どうしても来れない、とのことで登場したのが福岡さんに「縁とゆかりがありまくり」な人物。

 

 そんな元・チャットモンチーのボーカリストであり、福岡さんとはバンドメンバーであった橋本絵莉子さんの名前が呼ばれた瞬間、会場は大きく沸いた。ここでもまた、聴けるとは思わなかった音を浴びることができたのである。「風吹けば恋」「コンビニエンスハネムーン」といった名曲を作り、惜しまれつつ解散したガールズバンド、チャットモンチー。その透き通る歌声の主である橋本さんを、ライブでもなかなか披露されない楽曲とともに味わった。まさに祭り、といった怒涛のゲストラッシュであった。

 

 そんな祭りを終えたあと、寂し気な空気を纏って鳴り出したのは「Tabibito In The Dark」。イントロからギター→ベース→ドラムと音が増えていき、Aメロから後半にかけて徐々に盛り上がる、「音楽で『ビルドアップ』という単語を表現するとは、こういうことである」と示してくれる楽曲

 「何が普通で何が普通じゃないのか」という歌いだしから自分の意義を問いかけつつも、音の中では何もかもを捨てて、何もかもを忘れて進む旅人。ステージの上に立つ3人から滲み出す気迫にこの日はじめて目の滲む感覚を覚えた。

 

 本編ラスト「レモンスカッシュ感覚」は前の曲が「このバンドのリスナーであった僕が見てきた、10年間の表裏」の「裏」とすれば、「表」を表すような曲。

 Base Ball Bear の楽曲にたびたび登場する檸檬という果実。ほとんど酸っぱいけど、たまに甘い。

 Base Ball Bear の楽曲にたびたび登場する「炭酸飲料」喉にチクリと突き刺さるが、過ぎると爽やか。

 

 そんな要素の込められた「レモンスカッシュ」Base Ball Bear の楽曲でたびたび描かれる「青春」を大いに感じさせてくれた。

 "This is the Base Ball Bear."

 惜しみない拍手が止むことはなかった。

 

 そしてアンコール。

 

 溜めに溜めて深刻な発表するかと本気で不安になった「重大発表」。

 それが10年ぶりの日本武道館公演の開催告知であった。

 つい最近、「武道館に立つ」夢を叶えた瞬間を見届けただけに、その場所でまた、彼らの音を浴びることが出来る。背景の垂れ幕が「日比谷ノンフィクションⅨ」から「日本武道館」に変わった瞬間を忘れることは無いだろう。

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 その発表の流れからの「Stairway Generation」。

 「階段をあがれあがれ」という歌詞から、この曲は紛れもなく、これからも音を鳴らし続ける、届け続けるという意志が込められている、と確信を持つことが出来た。In The Dark にいた旅人は、アンコールを称えるスマートフォンのライトに照らされて迷うことなく歩み始めたのである。

 

 そして「PERFECT BLUE」。

 

 やっと聴けた。

 10年追い続けて、やっと。

 時間の流れと切なさと刹那さ。それが一挙に詰まったいちばん大好きな曲。それがこのPERFECT BLUE

 イントロで思わず脱力してしまった。この全身の力が抜けていく何が何だかわからない感覚。2021年8月15日、立川での「ミライキャンバス」、10月4日の北九州の「世界滅亡 or KISS」。それ以来の感覚であった。ただただ脳は焼け、力は抜け。それでも歌詞やメロディやステージ上の光景は鮮明に浮かび上がる。この感覚を味わえるライブが、素晴らしくないわけがない。

 

 ありがとう、Base Ball Bear

 僕の10年間と、あなたたちが歌い続けた20年間。

 この続きは武道館で、見届けます。

 

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 はい。

 

  本来この記事だけで2ライブ一気に書くつもりだったんですけど思った以上に筆が進んじゃいましたね。ミスチルさんは次回。

 普段女性やキャラクターの話しかしないのでこういう趣味全開、マイワールド全開の文章が誰に届くのかは投げたボールの行方をボールに聞くしかない状態なんですが、これを読んで誰か一人でもBase Ball Bearの楽曲を聴いていただけたらなと思っています。

 セットリストを追う形式で文章書いたから彼らの楽曲の1割も網羅できていないのが非常に心苦しいですがオタク大好き女性声優とデカい接点のある楽曲も触れられたので僕のお友達ならきっと聞いてくれることでしょう。「恋する感覚」はガチなので。

 10年間追ってるけれどほんとに錆びない楽曲を作ってくれます。「旬はいつ?」と聞かれて「今」と自信をもって答えられるアーティストが居ることに感謝。

 

 武道館。11月10日です。僕は当然行きます。来てくれたら嬉しいなぁ~

 先行やってるしなぁ~

 

 ということで。では。

 

ーーーオマケーーー

いつもはクソ写真を供養するのですが、今回は代わりに彼らの各アルバムで一曲ずつ必聴曲・入門リストを置いておきます。

GIRL FRIEND

GIRL FRIEND

Wink Sniper

Wink Sniper

ラブ&ポップ

ラブ&ポップ

十字架You and I

十字架You and I

Transfer Girl

Transfer Girl

Tabibito In The Dark

Tabibito In The Dark

初恋

初恋

PERFECT BLUE

PERFECT BLUE

不思議な夜

不思議な夜

すべては君のせいで

すべては君のせいで

Cross Words

Cross Words

DIARY KEY

DIARY KEY