ぴぃ・ダイアリー

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心が揺れた瞬間を、出来るだけ書き留めておきたい、そんな場所です。

好きの気持ちを採寸して、着飾って~ 喜多日菜子と、シンデレラガールズに仕立てられた二日間の記録

 出会いはドラマみたいに、奇跡めいて何気なく突然で。


 「別の友達が行けなくなったから穴を埋めてくれない?」という、安いドラマの脚本にありがちな合コンの感覚でやってきた会場。

 ミラーボールの回るなか、お目当ての女性をはじめて生で観て、大興奮する友人を横目に、僕の視線はほぼ、一点に注がれていた。ステージの先にある、どこか遠くを観ているような佇まいを演じている、どこかで会ったことのあるような姿。それが喜多日菜子というキャラクター(を、演じている深川芹亜さん)だった。

 徐々に熱を帯びていくダンスフロアの中でその既視感の正体を探す作業。ミラーボールの切れ間から、虹色の橋を視界の端に捉えた瞬間、その答えは現れた。あたり一面を照らす色とりどりのペンライトに手を振る姿。この日のちょうど一年前に、まだミラーボールも柱も無かったこの場所で観た、シンデレラガールズで2番目に好きな歌を歌っていたカラフルな衣装の女性の記憶と一致した瞬間が、その後色々と狂わせられることになる喜多日菜子の「担当」としてのはじまり。

 

 そんな因縁ある名古屋という土地に、「戦う顔」を携えて、喜多日菜子という概念に立ち向かうためにやってきた。

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THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LIKE4LIVE #cg_ootd」、さぁ、かかってこいー。

 

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 9回裏に6点を奪われて、千葉マリンスタジアムのベンチを蹴り上げてグラブを投げ捨ててしまうような悔しさが湧いてくる余地すらない、清々しいほど圧倒的な敗北がそこにはあった。あまりにも素直にこの日のライブを褒めたせいで、斜構じゃない僕を病気かと心配する人間もいた。しょうがないじゃん。君らがゲームやらなくなってからのシンデレラガールズの曲、実は割とだいたいみんなそれなりに好きなんだもん。

 

 2022年、担当補正抜きで断トツの楽曲とislanddirty334的に名高い「トキメキは赤くて甘い」、去年の愛知、2日目を握らなかった唯一の後悔、「#HE4DSHOT」、ライブテーマとの噛み合いが半端でなかった「ストリート・ランウェイ」etc…つつけばつつくほど感想が出てくるこの2日間。それでもやはり、いちばん舌が回ってしまうのは喜多日菜子という概念についてであった。

 

 妄想を共同幻想に変えて会場を魅了するシンデレラガールズというコンテンツで、この点において彼女の右に出るものは居ない。「きっかけ」と「ハッピーエンド」が定まりさえすればどんな楽曲でも自分のものに出来る、ある種のジョーカー、二次創作での一ノ瀬志希のクスリのような武器を持った彼女に、「どうしてこの曲を歌うのか」というアンサーを用意したいという、1年ぶりに呼び起こされためんどくさいオタクの性と、そんな喜多日菜子という概念を追いかける過程、遡れば彼女に出会う以前に重ねてきた思い出の双方が刺激され、言葉を紡がずにはいられなかった。

 と、いうわけでここからは、どんな解釈も正しいという公式の言葉を隠れ蓑に、この2日間の喜多日菜子がステージで披露した楽曲に対する感想や妄想を詰め込んでいく。それでは久々の「戦う顔」、行かせていただきますー。

 

・見るべき目線を斜めからまっすぐ揃えて~「Near to You」

 

 あまりにも久しぶりに聴いたイントロに高揚を隠しきれなかった。

 はじめてデレステで走ったイベントで魅了された音「Nothing but You」。そんな音を紡いだ敬意を表すべき作曲家が手がけた楽曲を担当が歌う、感慨深い時間。


 10thライブ、福岡公演の「shabon song」の描いた「一夜の夢の儚さに向かう喜多日菜子」に心臓を握られている僕としては、「空に舞うシャボン玉」という最初のフレーズから「シャボン?!?!?!」と脳が焼けそうになっていたが、いちばんのピークは2番の「大きな夢に 飛び立つ気持ち」という歌振り。夢見る少女の基礎の基礎のようなフレーズを歌う姿に唸ってしまった。連番者なら多分ここで僕が「そういうことかぁ〜!」と頭を抱えてしゃがみ込んだことを覚えているかもしれない。

 

 そしてこの曲を日菜子と一緒に披露したメンバー。モバマスに対しては超絶浅いことで有名な僕でも出てきた瞬間に分かった「ユメミルオトメノ151's」という151センチという身長で括られたユニット。

 ここで151センチという「スケール感」が提示されたことが次の2曲に繋がっていく。

 

・せめて、15歳らしく~「リトルリドル/Romantic Now!」

 

 Near to Youを歌うメンバーで示された、喜多日菜子の「身長」というスケール感。それに引き続いて示されたのが彼女の「年齢」というスケール感。

 喜多日菜子というキャラクターを担当する時間が長くなっていくにつれて、いつの間にか意識することが少なくなってしまった「喜多日菜子は15歳で、中学生」という設定が急に実感となって迫ってきたのがこの2曲。

 

 思えば僕が、喜多日菜子というキャラクターにはじめて惹きつけられたポイントはこの「15歳」という設定だった。

 

island7beauty.hatenablog.com

 

 もうひとりのシンデレラガールズの担当、喜多見柚。同じ15歳で、異様に出席番号が近そうな名前。この2人が交わるとすれば、どういう会話をするんだろうかというのが、妄想少女を解釈しようとするこちら側の、はじめての妄想体験。不意に馴れ初めを思い出させてくるじゃん…と腕組みしてしまった。

 

 喜多日菜子はまだまだ「リトル」だし、年相応の「リドル」を抱えながら日々を過ごしていて、雑誌の占いの欄の「ロマンティックなことが起きる予感」を信じていて差し支えのない少女。だからこそ、この2曲を歌う姿が自然とハマっていた。深川さんの歌い方も、他の曲以上に蕩けて、少女感を持たせているように感じた。

 

 特にリトルリドルの終盤の、「曖昧とかビミョーな感じ」というフレーズと、それを歌う表情。

 どうにもならないけれど、それを表す言葉もない少女の葛藤。「愛してる」を伝えたいのにその対象である王子様や、伝え方がぼやけて見えない。ひとことで言うならば「曖してる」状態が見え隠れしていて胸の詰まる思いをした。

 

 少女としての年相応の悩み、そして葛藤。

 日菜子にとっての、ライブテーマの着飾りの前段階を示したのがこの2曲であったと考えている。

 

・妄想の球根を聴き手にも広げて~「Tulip」

 

 世界を救う力の代償に、王子様以外の誰からも見えない禁断の果実を食べてしまった日菜子は、世界を救った約束の丘へ向かいました。その丘に向かう途中の船で嵐に襲われ、打ち上げられた砂浜の上。もう誰にも見つけてもらえない…雨に打たれながら泣いていた日菜子の背中から聞こえる「お嬢さん、傘は?」という声!それに「忘れてきてあげたのよ、自分の傘は」と返したあと、日菜子は、日菜子は〜......

 

 例えて出すなら、こんな感じの妄想。

 

 今回喜多日菜子が歌った楽曲の中で、最も意外性があったのはこの「Tulip」だったのではないだろうか。2日目のライブも終盤に入るというタイミングで披露されたこの楽曲は、ここまでに日菜子が歌ってきた曲とは毛色が違う、少し背伸びした姿を見せていた。「デコルテを見せつけてシャツを開ける」ような大胆なことだって、妄想ならなんでも出来ちゃう。どんな曲も自分の色に化けさせる彼女の強みが見えた一曲だった。


 ただ、「それだけ」では無いんですよね。ヒントはこの曲での彼女の立ち位置

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 そう、Tulipのオリジナルメンバー、宮本フレデリカ。その立ち位置に喜多日菜子は立っていた。イントロで「この曲?!」と飛び上がり、双眼鏡越しに深川さんの姿を見つけて「アッアッアッ」と心の中のDiggy-MO'が暴れだし「酸素足んねえよ、笑い止まんねえよ」「分かってねえだろ…ペイス…」と毒づきながら、視点を全体に戻したときの頭の中でビビッと繋がる感覚があった。

 

 日菜子とフレデリカの接点として今年(いや、厳密にいえば伏線は相当前に張られていたが)提示されたのが「アミマネラ」。後にも言及することになるこのユニットの少しだけ先のお話を見たような気がした。この曲を歌うことになった日菜子は、フレデリカにどういう話をしたんだろうとか、別のキャラクターを巻き込んで、面白いことが起きるんじゃないかとか。日菜子がツッコミに回らざるを得ない状況になるとか。コミュで描かれない出来事が次々と浮かび上がってきた。

 

 シンデレラガールズのライブに何度か足を運んでいると、「オリメンでないのに披露される楽曲」がよく見られる。そこにある理由や背景を「妄想」するのが僕なりの楽しみ方としてある。特に「担当じゃない子のソロ曲を歌う姿」を観て惹きつけられた日菜子に対してはその気持ちが強い。「妄想プロセッサーとしての彼女が広げる世界にこの日も魅了されて、こちらも妄想を投げ返してしまいたくなったワンシーンだった。

 

・日菜子の見せた「戦う顔」にあてられて~「ラビューダ♡トライアングル」

 

 さて、ここからは妄想成分控えめ、個人の思想多めのターン。

 

 今回のいちばん大きな目的はこの曲の回収にあった。

 

 それなりに貯まったスタージュエル、繁忙期に毎日理由をこじつけて定時で帰った故の世間体、一日分の有休、寝ぼけまくった推しイベ・Anime JapanのCUE!トークショーの記憶、平衡感覚、今なお健気に毎月誘ってくれる同期との呑み会に唯一参加できたチャンス、出会い系アプリでいい感じまで行った三次元女

 この曲のイベント期間中に犠牲にしたものを適当に並べただけで頭を抱えてしまいたくなる。けれどもこの時間だけは頑張らないといけなかった。喜多日菜子という概念の魅力に堕ちた直後にやってきた、「ギュッと Milky Way」のときの自分だけは倒したい。「推したてホヤホヤ」のあの頃の僕に対するファイティング・ポーズ。向こう側の世界で、「僕が一度手放したある概念」に対して戦っているように見えた日菜子に触発されたかのように「戦う顔」を整えた。

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 まぁ結果は大したことなかったんですが、そういうことはどうだっていい。

 話したいのは喜多日菜子が「戦っているように見え」た「僕が一度手放したある概念」について。僕についてそれなりに知っている人はピンとくるかもしれない。そう、シンデレラガールズにおける「キュート」という括りである。

 

 喜多日菜子という女の異質さは楽曲、という括りで見ると分かる。パッションという括りに居ながら、ソロを除くとオリジナルメンバーとして存在する楽曲はキュートのほうが多い。(あ、そもそもの曲の母数が少ないって意見はライン越えなのでやめていただけないだろうか…)以前どこかで久川颯というキャラクターの印象を「クールとキュートの汽水域」と表現したことがあるが、日菜子は言うならば「パッションとキュートの汽水域」に相当近い位置付けにあると考えている。

 

 さて、このキュートという概念。今はパッションの2人を担当している僕の古巣と言っても差し支えないものである。デレステ触るきっかけの女、少し前まで推していた女顔が好きな女、好きな。思い返してみれば僕のシンデレラガールズの歴史はだいたいピンク色だった。愛だ恋だ、好きだ可愛いだの基準の明確でないふわふわで曖昧な概念の総称のような「キュート」。

 それを持ち合わせているのは、決してその括りに属するキャラクターだけではないことを、喜多日菜子に接していると強く感じるときがある。「ギュッと〜」で示した、恋する乙女の代表としての、シンデレラガールズ恋慕枠代表としての役割を果たしたのが良い例。

 普通の恋も、日常もイメージして形にできる。

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 普段のトンデモ世界観ではなく、普遍的な世界を描き出して、立派なキュート曲の歌い手となった。

 

 そんな彼女にもう一度回ってきた、キュートの曲を歌う機会。それがこの「ラビューダ♡トライアングル」、そして「アミマネラ」というユニット。

 Tulipのときに触れた、噛めば噛むほどクセになりそうな独特の「キュート」を持った宮本フレデリカとの接点も勿論あるが、もうひとりのメンバー、島村卯月と、喜多日菜子の接点ができたということが、「キュート」という概念に惹きつけられてシンデレラガールズをプレイしてきた僕にとって、あまりにも大きすぎる事実だった。

 コンテンツの顔、そして「キュート」という概念の象徴。そんな存在と属性違いの自分の担当が「新しいユニットとして」肩を並べて歌う機会がやって来るという、あまりにも出来すぎたシナリオ。さすがにコンテンツに何かを握られているとしか思えなかった。

 

 そんな楽曲のコミュでの喜多日菜子は「ギュッと〜」のときとは違う描かれ方であった。控えめに、出来るだけ普遍をイメージした頃よりも「妄想」成分強めに、キュートの2人に対して向かい合ってそれなりにバチバチしていく展開。

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 そしてこの宣戦布告とも取れるセリフ。10年の歴史を持つコンテンツのひとつの概念の土俵に、妄想という武器を持って上がるひとりの少女の姿を見て「可愛い」よりも先に「アツすぎるだろ、コレ…」という感情が産まれてしまった。

 喜多日菜子はキュートという概念に、「再び招かれた」のではなく、「パッション」を「叩き込みに」来た。そんな曲がぶっ刺さらない訳が無いし、犠牲をたくさん払ってでもイベントを頑張る理由には充分すぎた。

 

 そんなことがあっての、この日の初披露。day1.day2ともに特殊イントロと、ピンク色のハート2つの後に灯った黄色のハートを見た瞬間から、視界は色んな感情を伴った液体でぐっちゃぐちゃになっていた。普遍的な恋から一歩踏み出して、恋のバトルロイヤル、複雑な関係まで歌える妄想少女彼女のパッションは、この2日間でキュートの歴史の1ページに刻まれた。かわいいの中にちょっとしたトリップと不敵な様子を感じさせる、この曲の日菜子としての深川さんの表現にそんな確信を持たずにはいられなかった。

 

シンデレラガールズのルーツと思い出と、今、好きな女の「等身大」~「Kawaii make MY day!」

 

 ......だからそういう追い討ちはホントに良くないって言ってるじゃん。

 

 何考えてるの?イントロドンで目の前のパイプ椅子掴んで前のめりになるなんていつ以来だよ。←アニサマでした…1週間前…

 

 散々キュート擦ってきたけど、その中でも別格の思い入れを持っている曲がこれ。僕がシンデレラガールズではじめて明確に「担当」というものを意識したのが中野有香というキャラクター。そんな彼女のユニット曲。7th幕張公演で久川颯、久川凪とともに歌うことで、ユニットの縛りから「かわいい」という概念の拠り所に昇華したこの曲が、更にステップアップして「ライブのアンコール」という位置で披露される日が来るなんて思いもよらなかった。ライブのテーマ的には歌うだろうなとは察していたけれど、実際に披露されると感情は何倍も揺さぶられるようで。

 

 10thライブを通していちばん大きかった後悔が「ファイナル初日に、中野有香を観ることができていないこと」だった僕。 

 Kawaii make MY day!の初披露をLVで見届けて、「いつかこの曲が、頭か大トリの目立つ場所で歌われるようになればいいなぁ」と考えていた、この頃はまだプロデューサーらしい思考回路を持っていた僕。

 

 そんな2人の過去の「僕」が一気に夢を叶えた瞬間がそこにあった。特に後者は一度心が折れて、コンテンツを手放す前の出来事だったから余計に感情が揺さぶられた。

 

 そんな私情の積もりまくった楽曲を披露した面子の中に喜多日菜子が居ることも嬉しい要因のひとつだった。ごめん嘘。嬉しいとかいう次元じゃない。こっちじゃないと多分アホほど泣いてない。

 というのも、今回はアンコールの一曲目をだいたい半分の人数で披露しており、初日は「Palette」、そして2日目がこの「Kawaii make MY day!」だった。

 

 では何故「Palette」ではなく「Kawaii make MY day!」だったのか。その理由は2番の歌いだし。「都会で出会う女の子 最新すぎ 大問題です」というフレーズ。このパートは中野有香が歌うと「普段なかなか踏み出さないオシャレな店に行った年頃の女の子」感が出るのだが、喜多日菜子が歌うと「夢を追ってはじめて都会に出てきたときの感覚」という、地方出身という彼女のスケール感が浮かび上がる。よく僕は「視座の違いと時間の流れを感じさせる概念」”癖”であると言うが、この曲、このフレーズはその癖を大いに刺激してきた。

 

 身長、年齢、特技の妄想ときて、出身地。喜多日菜子を少しずつ、ジワジワとあぶり出した2日間のトリ。日菜子のルーツとともに僕自身のシンデレラガールズというコンテンツのルーツまで辿られてしまって、斜めに構える暇なんて無かった。

 1番で既に泣きすぎたのに、そんな2番の頭の歌詞で深川さんを抜いたカメラはマジでやってる。普段双眼鏡or踊りのスタンスでモニターなんて見ないのに思わずガン見してしまった。多分脳内ハッキングされてたんだと思う。

 で、その次に映ったのが辻野あかり役の梅澤めぐさん。

 何?「LIVEツアーカーニバル 友星公演 ~夢とあなたと芽吹くタネ~」じゃん。数少ないモバマスの記憶まで補完されるオーバーキル。「全ての事象には理由がある」とはよく言ったものだけど、流石にこじつけを疑うレベルの思い出ボムの連鎖が襲ってきた5分間。

 何度も投げ出そうとしては推しを人質にとって現地に呼び寄せて、望んでいたもの以上を投げつけてくるシンデレラガールズ。どうやら僕はまだ、このコンテンツを追うことが出来るらしい。

 

・「認めてくれなくたっていいよ」

 

 サブタイトルなんて要らない。これだけでいい。

 

 僕がシンデレラガールズというコンテンツを、「何度も投げ出そうとした」理由。

 そのひとつが 「jewelries!」シリーズの存在にある。

 

 CINDERELLA MASTERというCDシリーズで、ソロ楽曲とオリジナルのジャケットを与えられたキャラクターに、さらなる特権と言わんばかりに与えられるカバー曲、そして2曲の新曲。

 それは多分、僕の担当には来ない。イレギュラーな形で与えられたソロ曲はすなわち先の展開がほとんど閉ざされてしまうことを意味する。正直に言うと、このソロ曲が、喜多日菜子の、喜多見柚のソロ曲が、「世界滅亡 or KISS」「思い出じゃない今日を」が、あれほどのクオリティでなければ間違いなくコンテンツを投げ出していた。

 

 自分の好きな概念には回ってくることがない、正直情報を耳に入れるのも避けたかったはずのもの。今回披露された「認めてくれなくたっていいよ」という曲は、そこに位置づけられるはずであった。

 

 何も知らない新曲で泣いたのは、「UNION!」以来だった。

 

 10周年記念アニメーションで示した「過去も未来も、観測者(≒プレイヤー)にとって、無限に存在する」というスタンスを補強するかのように、斜めに構えてコンテンツに向かっているほどグサグサ刺してくる歌詞が痛い。直前の「jewelries!シリーズの新曲です」という紹介で身構えていたことも手伝って、余計に弱点を晒してしまったらしい。目を背けていたかった、毒づいていた概念ともいえる曲を大事に、抱きしめるかのように歌う日菜子の、深川さんの姿を視界にとらえて、「こんなに良い表情で歌ってる曲を、なんで嫌いになろうとしてたんだろう」と、自分を責めるような気持ちもあった。

 それを掬い上げてくれたのが「好きと好きが重なる場所で会いたいな」というフレーズ。(うろ覚え、アーカイブ買ったのにまともに観れてないので)この日名古屋にやってきた目的は「好きな役者さんが、好きなキャラクターを演じる姿」を見るためだし、そんな場所で「好きな概念に真っ向から向かう好きなキャラクターの姿」、「好きだった概念と今好きな概念が交わる瞬間」を、「互いに違う”好き”がある友人たち」と見届けられた2日間。喜多日菜子を「はじめて好きになった」土地に帰ってきて、「さらに好きに」なった思い出を重ねた日。こうやって好きを重ね着して新しい装いを生み出していくような曲だった。

 

 はっきりと口にするには小恥ずかしくて難しいけれど、僕のスタンスに寄り添うような楽曲のリリース。間近に迫ったラビューダ♡トライアングルのリリースの先に、もうひとつ楽しみが増えた。

 

・おわりに~好きの「採寸」

 

 手芸部に所属している」

 

 喜多日菜子というキャラクターのスケール観について洗い直すようなライブを振り返る過程で、「大切な要素なのに、見落としていたことに気づいた」設定がコレ。ライブテーマが衣服やおしゃれに関わるものであるのだから、彼女はテーマ的にも来るべくして、このライブに来たんじゃないかと、ふと思った。

 

 身長、年齢、出身地、趣味・特技、そして所属。キャラクターを浮かび上がらせる様々な要素を楽曲を通じて明らかにしたうえで、「Tulip」と「ラビューダ♡トライアングル」のように、新しい表情も付け加えていく。この繰り返しを一言で言い表すとするなら「採寸」という言葉がハマるんじゃないか、そう思う。

 気になったジーンズを選んで、物差しをあてがって、自分に合うような裾の長さに合わせるような、僕の記憶にもあるそんな作業。キャラクターが複数いるコンテンツで「どんな子が居るんだろう」と見定めていく作業は、これにとても似ているような気がする。

 

 その「採寸」を、シンデレラガールズというコンテンツが、喜多日菜子というキャラクターが僕の内面にもするように迫ってきた一日。「日菜子のどこが好きなんですか?」(←割と言ってもらいたい)「キュートという概念のどこがいいんですか?」「昔好きだった女は?」といった問いかけの末に、僕にはKawaii make MY day!」という定番の服と、「認めてくれなくたっていいよ」というトレンドの服が仕立てられてきた。セットリストの流れとしては、「Brand new!」と「お願い!シンデレラ」が最後に仕立てられた「トレンド」と「定番」の服。この服をどう着飾るか、それはこれからの自分次第なんだろうと思う。

 

 シンデレラガールズというコンテンツが、これから先、喜多日菜子に、そしてもうひとり、喜多見柚にどんな服を仕立ててくれるのか。しばらくは行く末を見守っていける活力を得た、そんな2日間。とても良い時間だった。

 

 あとは僕がふたりにどんな服を着せたいか、という妄想も再開させた。無限に貯まっている「柚に、日菜子にカバー曲選ぶなら"コレ"リスト」、それがいつか火を噴くときを信じている。シンデレラガールズ、頼みます。

 

ーーーおもいでーーー

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新幹線で降りたのははじめてでした。
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ナナちゃん、久々にみたけどやっぱデカかった。

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一応観光らしいことも。

でらます企画、丹羽仁美というキャラクターの解像度をここぞとばかりに上げていて身内のオタクが嬉しそうだった。f:id:island7beauty:20220910132344p:image

 

ライブ後即決したスカチケ。俺の答えはコレや。

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楽しい2日間をほんとうにありがとう。