ぴぃ・ダイアリー

ぴぃ・ダイアリー

心が揺れた瞬間を、出来るだけ書き留めておきたい、そんな場所です。

「新世紀の〇〇ソング」 〜知らない「音」を浴びに行った記録~

 何もそんなに暑くなくていいんじゃないか、と思うような太陽。

 

 こんな季節が来るたびに思い出す光景がある。中学生のときの、野球部の新チーム初戦。太陽と重なった打球を見失って負けてしまった日。

 下級生からベンチ入りしていた僕が野球ではじめて味わった挫折。

 

 「あの日、僕がレフトフライを上手に捕ったとして」

 

 生きていると「あの日、こうしていれば…」という「if」を思い返す機会がある。今回はそんな、「if」の選択があり得たお話。

 

 「あの日、僕がノリと勢いで生きていなかったとしたら」、体験出来なかったであろう「音」にまつわるいろいろな出来事について書いていく。

 

・4U 2nd Live Tour Daze forU!! 山梨公演

 

 ノリと勢いで生きてたら気付いたら山梨県に居ました(照

 

 Tokyo 7th シスターズ、通称ナナシスのユニット、(なんか違う呼び方あった記憶あるから調べてみたらユニットだかエネミーだかライバルだかややこしくて分からん!)「4U」の単独ツアー、その追加公演となる山梨公演に参加した。この週末は土日共に急にチケットが降ってきて、その度に「ノリと勢いで生きるの辞めたい」と呟いていた。いやマジで。え、前日?う〜ん、「そうでもない」。

 富士山にほど近い、時折吹き込む涼しい風を浴びることが出来る半野外のステージで得られた、とびきりホットな夏の思い出を記していく。

 

 車窓から流れる景色に、少しだけ古傷が痛んだ富士急ハイランド。つい最近「蹴りをつけた」気持ちを置き去りにするかのように、ひとつ先の河口湖駅停留所でバスを降りると、迎えてくれたのはそこそこ見覚えのある女性。


 

 街を巻き込んだ思った以上に大掛かりなお出迎えを抜けた先の河口湖ステラシアター。連番者からは「フリ素の覚悟をしておいてね」と告げられていたチケットを開くと2列目。いや近い。これ前日にノリで行くわ〜wとか言ってるヤツが握っていいチケじゃない。2月の立川のアレ以上、5月の大阪のアレ未満といったところの距離感。しっかり目に焼き付けるかぁ〜という心持ちは即座に裏切られることとなる。

 

 ハモリが綺麗で夏っぽ〜い、イイね!と感じた「ワタシ・愛・forU!!」。ここまではまだ人間の心があった。だがその次、

 

「TREAT OR TREAT?」

「Lucky⭐︎Lucky」

「メロディーフラッグ」


 馬鹿でしょ(褒め言葉)としか言いようがない叩き込み方。この日の3週間前に間接的に僕の精神を苦しめた吉岡茉祐さんがまぁ目の前で煽る煽る。あんな演技の後に同じ人がコレだけ真逆のハジけ方するの、感情がFUJIYAMA。そんな気持ちで観ていたとはいえ煽られたら跳ぶしかないので跳ぶ跳ぶ。よく「明日のことは考えずに〜」とMCでアーティストが言ってくるが、4曲目の時点で「お前たちに、明日は無い……」と宣告してくるのは久々の感覚だった。

 


 序盤の畳み掛け(MC挟んでたけど普通に息切れしてた)のあとは各キャラクターにフォーカスした楽曲。そういやこれキャラクターコンテンツだったな……と思い出させてくれた。

 現地で聴くのははじめてだった「青空emotion」「パフェ・デ・ラブソング」。そしてやっぱり私がど真ん中よ!と言わんばかりに雪崩れ込んだ「ROCKな⭐︎アタシ」。フロントマンがドンドン引っ張るというより、個が主張し合って不思議に調和しているユニットなんだろうな、という印象を得られた。

 


 続いてコンテンツの他のユニットのカバー曲パート。意外と昔行ったナナシスのライブのことも覚えているもんだな〜と思いながら振りコピ(バンドなのでコピーする振りも何も無いが)を3曲ほどこなした後、流れてきたのが「夏のビードロ⭐︎シンフォニー」。この日がほぼ初見のこの曲、何というか"癖"の塊のようで一瞬で魅了されてしまった。


 その癖の根底にあるのが「爽やかさと棘っぽさの両面」を表す概念。

 僕の敬愛してやまないバンド、Base Ball Bearが多用する「サイダー」という概念がコレにあたるのだが、この楽曲のビードロも似たような概念だと考えている。

 


 まるで水のような顔をしながら、喉元を刺すように走るサイダー。

 透き通った美しい見た目をしながら、つんざくような音を鳴らすビードロ

 


 爽やかさを絵に描いたような見た目をしていながら、触れるとチクりと刺してくるコレら二つの概念。青春真っ只中の設定のガールズ・バンド・ユニットが歌うにはあまりにも絵になりすぎる。そんなことを思いながら、目に入れるとチクリと痛い、これまた透明な概念、シャボン玉の演出に包まれた3人を見つめていた。

 


 そんな感傷を引き摺ってアコースティックパート。半野外の会場の特権と言うべきか、夕焼けが3人の背中を照らして放課後の校舎の音楽室の片隅めいた空間が形成されていた。合唱コンクールの前の練習ってこんな風景だったよなぁとオタクに染まる前の僅かな甘酸っぱい記憶を辿りながら、「Hello …my friend」「プレゼント・フォー・ユー」に耳を傾ける時間。長縄さんの横顔がとっても良かったなぁ、と、しみじみ。


 まるで心の天井についた染みを数えるかのようなほっとしたひととき、そこに「ボンヤリしてんじゃないよ!」と喝を入れられた本編ラストパート。回復した体力を根こそぎ持っていかれて行かれた。ラストナンバーは新曲の「Daze for U‼︎」。最新の私たちが最高と言わんばかりの締め。楽しいの一言に尽きる時間だった。

 

 アンコールを待つ前の幕間の映像でひとしきり笑った(本当にめちゃくちゃ面白かった)あと、ステージ上をふと見ると和太鼓。映像にあった「やりたいことリスト」のひとつ、「盆踊り」で一気に会場は夜のお祭りモードに。そこから「一曲だけ」とアンコール披露。「メロディーフラッグ」でキレイに幕が閉じた…

 と思ったら鳴り始める「TREAT OR TREAT?」のイントロ。加減を知って欲しい。「もう一曲やりたくなっちゃった」とか言い出してガラスのブルースのイントロ弾きはじめる藤原基央か何かかな?こうなったらもう歯止めが効かないのが4U。「LOVE AND DEVIL」「Daze for U!!」を叩き込み、後に塵すら残らない完全燃焼。息も絶え絶えで空を見上げると、この夏最初の花火が打ち上げられていた。

 


 さて、4U、というかナナシスというコンテンツについて。この日でライブ自体は4回目の参加になったのだが、確実に言えるのは「雑に行っても絶対的な楽しさが保証されている」ということ。

 


 ただ4Uが他のユニットと違う、と感じたのは良い意味でのフリーダムさ。コンテンツであることを意識させることに徹した作りの普段のナナシスのイメージで参加したのであまりにも「アーティスト感の強いライブ」に面食らった。きっとコンテンツという枠組み以上に、ライブという体験に重点を置いて、「ライブが楽しい」と思って帰って貰えるように作られているんだな、と感じた。




 コンテンツの知識や思い入れなんてこの日の連番者に比べたら無に等しく、曲しか知らないような状態にも関わらず、4日分の筋肉痛が襲ってくるくらい楽しんだ。それくらいのライブ、いや、エクササイズ。是非とも多くの人に体験して欲しいと思うばかりである。ありがとう4U。

 


・DUSTY FRUITS CLUB  TOTAL CONTRAST VIVID COLOR NIGHT

 


 時は遡ること5月。

 

 新しく好きになった概念を一度観てみようと足を運んだウマ娘4th。

 そこで披露された「winning the soul」、僕の目線はステージの一点に注がれていた。

 


 キタサンブラック役、矢野妃菜喜さん。

 


 その横に居るさいと…Machicoさんのパフォーマンスが図抜けているのは何度も観てきたから分かっていたが、まさかそれに匹敵する、いやそれ以上のパフォーマンスを横に並んで見せつけてくる存在がいるなんて、という大一波、そんな人が虹ヶ咲ではステージで踊って歌う側ではない、という第二波。この2つの衝撃から、「この人のパフォーマンスを、どこかで一度観てみたい」という気持ちが生まれた。

 

 と、いうことで調べてみたらウマの日のちょうど3日前にソロライブをやっていたというバッドタイミング。しかもその日はCUE!と重なっててどちらにしろ行けなかったし、更に僕の半生を共にしたBase Ball Bearのドラマー、堀之内大介氏がサポートメンバーで参加していたとのこと。なんというか、観たいものがここまで噛み合わないかぁ〜と思わずにはいられなかった。

 


 が、ある意味リベンジのような機会は、思ったより早くやって来た。

 それが今回参加したDUSTY FRUITS CLUB「TOTAL CONTRAST VIVID COLOR NIGHT」。矢野さんがボーカルを務めるロックバンドの2days公演、その2日目の感想を綴っていく。

 

 「これぞライブハウス」、と言う空間に立ち入るのは、いつ以来だろうかと記憶を辿ると、鹿児島の繁華街の灯りを思い出してしまうのは、きっとこの会場に一人と居ないだろう。そんな気持ちを抱えて入場した渋谷REX。久しぶりの「オールスタンディング」という言葉の響きに、自然と胸が高鳴るのを感じていた。

 

 開演前のジングルが大きくなり、バンドメンバーが各々楽器を手に取る。間もなくして姿を現したのが今日のお目当て、矢野妃菜喜さん。

 この日の会場の中でオタクとしていちばん浅い自信があった僕でも、「あ、何か役に入り込んでいるときとは違う顔だ」と気付くことができた。いつか観たライブでの、ベースのチューニングを終えて一息ついたあとの関根史織さんのような雰囲気。今から音楽を届けるぞ、という女性の顔はどこか似るらしい。

 

 そんな余計なことを考えていると静かにイントロが鳴りはじめた。「Beautiful Pain」。メロディが進んで行くたびに少しずつ音が重なっていくビルドアップを感じられる楽曲。ギター、ドラム、ベース、様々な楽器の音の層に鍵盤の音が合流した1秒ほど後に拳を突き上げた矢野さんの情熱的なシャウト。フロアを温めるにはもってこい。ここからアップテンポな楽曲が束縛からの解放を求めるかのような「Scream!」まで続いていく。この楽曲、まさに色々な鬱憤ばらしのようにバンドメンバー含めた会場全体がヘドバンをしていたのが印象的であった。MCで言ってたけど、そりゃあ首も動かなくなるよな……

 

 アップテンポな楽曲のパートが終わってからはバンドとしての手札の幅広さを見せつけるかのような展開が進んでいく。どことないファンクを感じる「Simple life」、バイオリンの音を加えた「勇気のかけら」や息遣いまで聴こえてきそうな「ひとりでも大丈夫」といったバラード、他の楽曲のデジャブが何度も訪れて、曲の中で3曲くらい連続で流れているんじゃないかという感覚を覚えた「Don't stop the music」。音の表情を代わりに伝えるかのような矢野さんの表情の移り変わりと、純粋に良い演奏を楽しめた。

 

 そして「明日のことなんて忘れて楽しもう」と言わんばかりの畳み掛け。フロアが跳び上がる人と人の間隙を縫って視界に入った「ROCKSTAR」で拳を突き上げる矢野さんはまさに「ロックスター」のようであったし、タオルをこれでもかと言わんばかりに回した「アルジェの夏」、そしてアンコールの「next Sunday」。心地よい疲労感とともに次の日曜日に向かうパワーを受け取ることができた。

 


 そのあとにダブルアンコールのサプライズ。披露されたのは「Beautiful Pain」。

 「いちばん最初に披露した曲を、最後にもう一度披露するライブに外れはない」と知り合いの誰かが言っていたことを思い出した。

 


 それはきっと、その日浴びた体験のダビングと、一回目と二回目の音そのものの違い、そして最序盤の緊張と終盤の解放感のギャップにより産まれるんだろうな、と気付けたのが、表現者としての矢野さんを知ることとともに得られたこの日いちばんの収穫だった。

f:id:island7beauty:20220810004951j:image


 ほとんど予備知識なしで臨んだ今回。実際に聴いたあと、果たしてどういった感想をえるのだろうか。出来ることなら近いうちに、またDUSTY FRUITS CLUBの音を浴びたい、と強く思った。

 

・カラオケのヤツ

 

 はい。

 

 真面目なライブレポートはここまで。

 

 さっきまでの「rockin'on」の編集者の面を脱ぎ捨ててオタクショップの片隅に置いてある某雑誌の編集者の顔面にチェンジさせてもらったところで。実は7月頭にはじめて女性声優のカラオケイベントと名のつく催しに行った。そう、オタク収容施設、初収容の日。

 

 ギリギリまで判断を渋っていたが、無茶な予定をこじ開けてでも観に行きたいというポジションに篠原侑さんという存在が収まってしまったようで。

 見てるか立川の最前でニチャニチャしてた2月の僕。お前はその1週間後、予想もつかない方向に舵を切ることになるぞ。

 

 このイベント自体は期待より数段楽しめた。篠原さんの「好きなもの」を詰め込んだ選曲、大切にしている曲を丁寧に歌う様子、後ろのガヤ。後日貰えた私信も含めて心の充電には充分余りあるものだった。123-0、5回コールド。この日も僕は女性声優に勝つことができませんでした。


 さて、本題はここから。


 「音」を浴びに行った副産物として得られたのが、この日の出演者のひとり、下地紫野さんのオタクとサシで会話する機会。Twitterアカウントを変える前からの数少ない知り合いで、「汚点」と切り捨てて言及を避けがちな過去の僕のことも含めて積もる話を沢山した。積もりすぎて時間が足りなかったのでまたお話したいくらい。あ、見てますよね?時間合えば行きましょう。


 ここでの会話、なんというか久しぶりに初心に帰るような気持ちになった。キャラクターに対しては何度も文章で洗い直してきた「どうして、どのように好きになっていったのか」という過程。それを「推し」と呼んでいる概念に対しても当てはめていくアウトプットの作業。直近すぎて過程が鮮明に思い出せる篠原さんから、「そんな時期もあったなぁ〜」と唸ってしまった話まで。この日にアウトプットの練習をしていなければ、イロアワセに対する感想文の半分のパートは完成しなかったと思う。それくらい楽しく有意義な時間だった。あちらがどう思っているかは知らないけれど。

 

 聴きたい「音」に惹かれて集まった場所で、自分の"推し観"を吐き出せた貴重な時間。こういう話をするのもイベントの醍醐味だな〜と思った。


 ちなみにこの日の最大のハイライトはコレ。


「キャラクター契機で気になって個人のイベントまで行って挙句の果てに遠征までしているのにその人にまだ堕ちてないは流石に無理があると思うよ」


 ごもっともです。僕の負け。

 

 と、いうわけで7月。知らない場所で知らない音を聞きに行って色々感じた、考えたことの記録。最後は番外編みたいなものだけど、今の僕にとって外せない出来事だったので、書いて残しておきたいなと。

 

 「あの日、僕が聴いた音を思い出せなくなったとして」

 

 中学生の夏、スコアブックに書いた「レフトフライ・落球」を示す記号のように、見返せばその日に帰れるような場所を作っていきたい、そう思える機会に恵まれたひと月であった。

 

---------おもいでこーなー---------

・今回は音楽がテーマなので。音だけです。

 

夏のビードロ☆シンフォニー

夏のビードロ☆シンフォニー

  • provided courtesy of iTunes

 

Lucky☆Lucky

Lucky☆Lucky

  • 4U
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

PERFECT BLUE

PERFECT BLUE

  • provided courtesy of iTunes

 

winning the soul

winning the soul

  • provided courtesy of iTunes

 

Beautiful Pain

Beautiful Pain

  • DUSTY FRUITS CLUB
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

Don’t Stop The Music

Don’t Stop The Music

  • DUSTY FRUITS CLUB
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

おもいでしりとり

おもいでしりとり

  • DIALOGUE+
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

Starting Now ~新しい私へ

Starting Now ~新しい私へ

  • 清水美依紗
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

God Save The Girls

God Save The Girls

  • provided courtesy of iTunes

 

新世紀のラブソング

新世紀のラブソング

  • provided courtesy of iTunes

 

 


www.youtube.com

*今回のモチーフになった曲です。